ブルーレイ版「モンスター・ハウス」
幽霊屋敷という題材は昔からあるもので、子供のお化け話の定番といっても過言ではないですね。
それを「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を手がけたスティーヴン・スピルバーグとロバート・ゼメキスの制作総指揮で作るとどうなるか。荒唐無稽の設定なのは承知の上で、どんなものを見せてくれるんだろうと期待してしまいます。
オープニングがあけると、紅葉した赤い葉がまずアップに。それだけで目を奪われる映像の美さ。葉脈の1本1本まで、葉が透けるごとくに描かれています。その葉が木から離れ、ひらひらと舞い落ちて、新興住宅地の町に散っていく。周囲に広がる紅葉の木々の、その1枚1枚の葉っぱまで描かれてるんじゃないかというほど多彩な色の洪水が画面を埋め尽くします。さらに驚かされるのはこの背景の町や森が少しずつぼやけていること。続いて登場する三輪車で走り回る女の子のバックでも、奥の町や白い塀がきれいにぼやかされていて、絵のメリハリ感をうまくつけているんです。それが奥行き感になり、柔らかさになって、これまで平面的になりがちだったCGアニメに、より自然で表情豊かな空間に変えています。美しく丁寧に描かれたキャラターを中心に置きながらも、実際にフィルムで撮影したような質感を非常に大事にしていることがわかる映像です。ハリウッドのCGやアニメはどんどん進化していますが、こうした新しい表現技術をしっかりと入れてくるのがスピルバーグたるゆえんでしょうか。ちなみに、試聴の方はシステムバージョン1.82です。
私は特典映像の解説を見るまでは知らなかったのですが、「モンスター・ハウス」は全篇フルモーションキャプチャー作品なんだそうです。つまり、登場人物の全てに人間のモデルがいて、実際に演技をしているというとです。キャプチャーするときは顔や身体に無数のポイントを貼り付けて、これをコンピュータで取り込んで、表情や身体の動きを正確にCGに振り分けていきます。ギル・ケナン監督によると、登場するキャラクターにあわせた配役をあらかじめ考えていたのだそうですが、出演依頼をすると、なんとその俳優さんたち全てが予定通りにそろったというからまた驚きです。できあがりはもちろんアニメになるわけですから、俳優さんたちは実際には声だけの登場なのに、裏では全て演技をしなければいけないわけで、まぁよくみなさん納得したものだと思いますよね。それだけに登場人物の雰囲気とか、キャラクターの表情なども実によくできています。実際PS3で確認してみると、映像に割り当てられたビットレートは15~25Mbpsの間ぐらいなので、決して高い転送レートではないんですが、これもハイビジョンならではの良さが生きているということでしょうか。
こういう映画はやっぱりこうした映像の美しさを中心に見るのがよいようです。ハリウッドは子供向けだと思うと、本当に子供向けの単純な設定にされちゃうんですが、この作品も例外ではないところが残念なところ。主人公の3人は、いかにもっていうくらいに、お決まりのキャラクターだし、最後に町を練り歩くモンスターハウスの姿は楽しいものの、設定にはかなりの無理が・・・。もうどこかのパラレルワールドに飛んでっちゃってる感じですからね。家が歩いているというよりは「宇宙戦争」のトライポッドが出てきたのかと思っちゃうほど。登場する大人たちが軒並み悪い人なのも、残念かな。せめて「パイレーツ・オブ・カリビアン」ぐらいのファミリー向けの設定で作られていれば、末永く楽しめる作品になっていたかもしれないと思うのですが。
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コメント
ロバート・ゼメキスとモーション・キャプチャーと言えば、
以前「ポーラー・エクスプレス」という作品もありましたね。
(正確にはモーション・キャプチャーを更に発展させ200台ものカメラを使ったパフォーマンス・キャプチャーと呼ばれる技術なんだそうですが。)
この時はトム・ハンクスが実に一人5役をこなす奮闘ぶり。
この作品は3D版の上映もあり、
最初からいざ3Dになればどこが立体化して臨場感が出るかまであらかじめ計算しつつ製作されていたとのことで、
品川・アイマックスという劇場で鑑賞した時はその完成度の高さに驚かされましたが、
通常版でもまるで絵本がそのまま動いているかのような細部までの見事な作りこみが感じられ印象深かったです。
「モンスター・ハウス」は未見ですが、
CGアニメ作品も奥行き感の表現などが進んでくると、
今後、よりハイビジョン観賞用のコンテンツとしての価値も高まってくるかもしれませんね。
投稿 リアルタイム | 2007年7月 7日 (土) 18時22分
そうそう「ポーラー・エクスプレス」もきれいな映像でしたね。日本のいわゆる「アニメ」の絵も私は好きですが、いろんな世界が生まれてくるということが楽しいです。
アメコミの実写かが流行っていて、大人はそちらで・・・ということなんでしょうが、もう一歩ストーリーの練り込んだ作品が見たいとつくづく思うところです。
投稿 駅長 | 2007年7月 7日 (土) 22時36分