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2007年10月28日 (日)

森博嗣の「イナイ×イナイ」で、オーディオマニアな女性名探偵はいかが

 出張にしても、旅行にしても、出かけるときはミステリィを一冊持って行くことにしています。乗り物に乗っている間、待ち時間の間、ホテルの夜。どうしても無駄な時間が多いですから、この間にミステリィを読むのが好きなんです。最近は「森博嗣」さんのミステリーを持って行くことが多くなりました。森博嗣さんは中部地区にあるN大学の工学の先生なんですが、今や作家としても超人気作家となりました。今やテレビドラマにもなるという理系ミステリィの世界を作った人の1人ですね。どちらかというと情念や動機の改名に焦点が当たりがちな日本のミステリーですが、そんなこととは他人の理解のおよぶことではないと割り切って、犯罪の実行可能性や登場人物の客観的な行動、振る舞い、状況に焦点を当てていくというやり方です。だから、ミステリーファンの中には、スッキリと全てが改名されていかないという形式に物足りなさを感じる人もいるかもしれません。でも、結局素人探偵が事件に迫るという本来無理のある設定がミステリーには課せられた課題でもあるわけで、謎が謎として残ることがむしろ現実に近いともいえます。また、基本的には全てが密室で起こる一見実行不可能な事件ばかりで、これも最初はビックリするんですが、ここでも通常の密室ミステリーのような緻密さで謎が解かれるのではなく、工学や建築学、物理学(あと、ものすごい財力)を利用した大胆な発想であっけらかんと割り切っていく形式で、驚きはしても謎解きの感動もまた薄いものだったりします。では、森ミステリィのおもしろさはどこにあるのか。森ミステリィのおもしろさはまさにその淡々と、事件や登場人物に関わっていくという、客観的な出来事の重なり合いが現実だという姿勢そのものなんですね。私たち心理学をやっているものは「心」が理解できると思われがちですが、実は「行動」を見ることでその人を理解しようとしています。言葉を大事にしますが、実際の行動という裏付けがない限り、それは現実の中に存在しないわけで、やはりいつも行動を見ていることになるのです。森ミステリィにはそうした客観的な視点によって犯罪を解明し、さらには登場人物の関係さえもとらえていこうとする姿勢が、とても刺激的で、またある意味の本質に触れるところがおもしろいと思わせるところです。まあ、そうは行っても実はこれにも裏があって、森ミステリィは最初の著書となる「すべてがFになる」からはじまって、すべてがつながりを持っているんですね。すべての出来事はバラバラなように見えて、人間はみなどこかでつながっている。東京で吹いた風が、ニューヨークのチョウチョに影響を及ぼすかのようにつながっている。それぞれの出来事が、少しずつ登場人物の変化に結びついていく。こうした要素も森ミステリィの重要な魅力になっています。ということで、初めて読まれる方には「すべてがFになる」から読まれることを強くお勧めする(作品としてもこれが一番の傑作です)のですが、今回のたびに持参した「イナイ×イナイ」はもっとも最近はじまった×シリーズといわれる作品の1号に当たるものです。こちらもいずれ他のシリーズとのつながりが明確に出てくると思いますが、「イナイ×イナイ」ではそれほどでもないので、最初に読んでみてもよいと思います。ということで、森ミステリィの紹介が長くなってしまいましたね。

  

 ・・・で、それがなぜに「音楽・道楽」で、というかというと、この「イナイ×イナイ」の主人公となる小川令子嬢が実はオーディオマニアなのですねぇ。彼女は最近、ある美術鑑定士に雇われた「助手」なんですが、その美術鑑定士には探偵というもう一つの顔があった。そこで事件に巻き込まれるんですが、肝心の美術鑑定士は別な仕事でいない。彼女は助手として、さらにアルバイト助手の芸大生・真鍋瞬一君を連れて事件に望むというお話なのです。小川嬢はヒョイッと事務所に現れたかと思うと、殺風景な事務所に自前のミニコンポを運び入れて来ます。どうも、彼女が以前秘書として働いていた社長さんがオーディオマニアで、彼女も染められたらしい。彼女はこのミニコンポの音を聞いて、不満いっぱいでおもしろくない。「中低音の厚みがなくて、セクシィじゃない」と言ったりする。こんな音は助手の助手である真鍋君にも聞かせられないと、ミニコンポの音量を絞り、結局また自腹で新しいスピーカーを買ってくる。ね、立派なマニアです。いやー、うれしい、こうした主人公をどんどん登場させて欲しい。実際小説の中で触れられるシーンはわずかなんですが、森博嗣さんがオーディオにも興味を持ってくれていると思うのもうれしい。「イナイ×イナイ」は作品としても軽やかさがあっておもしろかったです。この小川嬢はきれいだし、センスもよいし、積極的だけど、ちょっとドジで優しい。助手の助手である真鍋君は線が細く、人が苦手。芸大生なのに、あまり芸大生らしさがないおとなしげな青年。でも、この真鍋君が意外と落ち着いていて、事件の真相に迫っていくのもおもしろい。さらに、ちょっと怪しげで、カッコイイ探偵の鷹知祐一郎氏が助っ人のように加わってきてストーリーが進みます。
 私としては「イナイ×イナイ」をぜひドラマ化して欲しいなと思ったりするのです。「すべてがFになる」は配役が難しい。主人公の西之園萌絵にあたる人がどうしても出てこない。犀川先生もしかり。でも、小川令子嬢ならどうかと思う人がいるのです。私の推薦は、竹内結子さん。元気かつ繊細なところがピッタシ。真鍋君が意外と難しくて、あまり男らしくなったりイケメン過ぎる、と小川嬢との距離感がとりにくくなるので、芸大生という設定をちょっといじって、もう少し若くする。候補としては神木隆之介君。真鍋君は最後は謎解きの中心にもなるので、頼りなさとしっかり感が両立して欲しい。イケメン探偵はカッコよさだけではストーリーがダレてしまうので、ビシッとしたところをいれて上川隆也さん。これならシリーズとなっても豪華な役者人になりますよね。「イナイ×イナイ」で重要な役となる美しくも社会から隔離されて育てられた双子の姉妹にはゲストとして仲間由紀恵さんではどうかと思うのです。他の森ミステリィをドラマ化するとしたら、すべての象徴となる十全たる存在・四季を誰にするかということで、やはり仲間由紀恵さんが真っ先に頭に浮かぶのですか、これを考えなければ、今回の配役としては仲間さんが一番当てはまる感じがするんですよねぇ。ちなみに、先に出てきた裏の顔をもつ美術鑑定士は他の作品とも関連するので渋さと若さの同居する真田広之さん。いかがでしょう。どこかのメーカーがスポンサーになって、オーディオ好きの女性名探偵を作ってみてくれないですかねぇ。

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