どろろ
手塚治虫さんの名作マンガを実写かしたのがこの「どろろ」ですね。配役には今人気絶頂かつ交際が噂されている妻夫木君と柴崎さんを組み合わせて、話題性も抜群。当然お金もかかっていますねぇ。
画質は全体にカラッとした画調で、乾いたテイスト。銀残しのフィルムで、意識して色彩感を抑えているのが分かります。舞台は貧困と飢えに苦しむささくれた世界ですから、それはよく現れていますね。ロケの舞台がオーストラリアということですが、オーストラリアの乾いた感じとその他の撮影との整合性を合わせるのにも役立っているのかもしれません。音の方もどちらかというと細かい音や緻密さで効かせるのではなくて、鋭い力強いはっきりとした音で作られている感じがしました。SFXを駆使していることも話題の一つですが、強い音でアクション性を際だたせているようです。映像は3~7Mbps、音のは方はDTSで1.5Mbpsの転送レートでした。
作品として見ると妻夫木君のアクションはなかなかサマになっているし、柴崎さんのどろろもよい味を出しています。お金もかかっているので、スタジオのセットがいかにも広いのがまた映画らしくて印象がよかったです。最近はテレビ的な映像が多くて、役者のアップや近接的な撮影が目立つのですが、この映画はわりと空間を広く見せるカットが多くて、映画らしい舞台の大きさ、スクリーンに映えるような背景の広さが味わえます。昔の映画はこうした広さをきちんととらえたカメラが多かったんですが、最近はなかなか感じられないんですよね。そういう意味では、しっかり映画らしい映画を作ろうとしているのはよいなと思いました。
残念なところでいえば、肝心の適役である妖怪のデザインがちょっと子供っぽいとろこ。確かに、もともとマンガ・アニメの作品ですから、対象は子供向けなのかもしれませんが、実際にこのどろろは厳しい時代と辛い人間関係を通して生きる成長の物語。子供ながらにこの厳しさに向かい合うことで、どろろに共感したのではないかと思うのです。そう思えば、妖怪のデザインを子供向けにふる必要はなかったかと思います。しっかりSFXを駆使して強く怖い妖怪を作って欲しかった。妖怪らしい妖怪は最初の一体だけなのがもったいない。こうした妖怪たちに対して、本当に怖いのは中井貴一さん演じる城主の方。つまり、妖怪より人間の方が怖い。この映画が単なる人気タレント映画に終わらなかったのは、まさに中井貴一さんの迫力ある熱演があったから。中井さんが登場すると場面の空気が一気に締まりますね。ものすごい力があります。ラストの決闘シーンなどは中井さんあってのシーンでした。
総じて見れば「どろろ」はよくできた映画だと思います。FSXのセンスがハリウッドと異なることが賛否を分けるのでしょうが、ないものを求めなければ楽しめます。柴崎さんのどろろもたぶん賛否の分かれるところ。柴崎さん自身はよく演じていて、不満はないんですが、「どろろ」が女の子である必要があったのだろうか。しかも、柴崎さんは「女の子」とはもう呼べない年齢ですし、どうしても百鬼丸との恋愛がらみの想定が出てきます。まあ、最初から熱愛中の2人を出しているんですから、それも狙いなんでしょうが、そこまで行くとちょっとあざとい。少年どろろが、百鬼丸を通して、生きていくこと、人間であることを発見していくという手塚さんの大きなテーマを引き継ぐのなら、恋愛はよけいな荷物になるのではないかと。。。「どろろ」はすでにパート2の制作も決定だそうで、よく言われるようにパート2でこけるのか、さらに伸びるのか、楽しみにしたいところです。
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投稿 みんな の プロフィール | 2007年12月10日 (月) 13時36分