たぶん、音楽が好きだという人には、好きな音色があるんだと思います。どうしてそういう音色が生まれるのかはよくわからないけれど、私は生まれてこれまでの経験と同時に、それぞれの脳が求める心地よい音色というのが存在しているのではないかと思うのです。その音色がうまく響くと、脳の中に心地よさを感じさせる物質を一気に噴出させて、ステレオの前から動けなくなる。
私には好きな声というのがあります。これはもうかなり明確で、自分でもよくわかります。わかるといっても、最初から知っていたのではなくて、たくさんの音楽を聴いているうちに、いつの間にか気がつくと同じような声の人のCDがたくさんあるということに気づくわけです。あ、この声はあの人に似ているなぁ、なんて思っていると、そういうCDばかりが実はたくさんあるわけです。楽器でもたぶんそうで、ジャズでも、クラシックでもその音色があるだけで、何となくうれしくなっているんだと思います。
「声」についていうと、私がもっとも好き声(これは歌声に限るわけですが)はかつては「赤い鳥」から「ハイファイセット」で活躍し、今はソロシンガーとして歌っている山本潤子さんの声。山本潤子さんの優しく伸びていく高域の歌声が大好きなんです。でも、世間はあまりそうではないらしくて、最近は活動もめっきり減ってきました。代わりに、このところお気に入りなのはParis matchのミズノマリさんの声。この2人の声は私の中では本当によく似ていて、とっても気持ちいいんです。この2人は力を入れているようで、どこか肩の力が抜けている大人の声です。
で、それとは逆に思いっきり歌うことの気持ちよさというのもありまして、最近とっても気持ちいい、大好きだなぁと思うのが「いきものがかり」の吉岡聖恵さんの声。先の2人が透明で繊細だとすれば、吉岡さんの声はちょっとかすれ気味で、歌い方も前に、前に出る歌い方。元気さと精一杯の情熱を声に乗せるタイプ。上手か下手かといえば、ちょっと通り一辺倒に聞こえなくもないけれど、技術をどうこういうのがバカらしいくらいに、この声は脳に響く。元気で明るいだけでなく、その声の奥に切ないような響きがあるんですよね。本当の吉岡さんの人生はそんなに切なくないのかもしれないけれど、そう感じさせる声を持っているのは確かで、だから、この声を聞いてるといつも何となく目元が熱くなる。
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