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2008年11月22日 (土)

和田先生とLINNを聴く その2 大阪ハイエンドショウ2008

 さて、理屈はそうなわけですが、心配がないわけでもありません。まず最初に考えるのは音楽データを取り込むソフトがどんなものか。iPodで言えばiTuneにあたるソフトですが、これがどれほど高音質なものなのか。CDから取り込むということであれば、いくらエラー補正がないといってもCDはCDであって、いまやSACDというより高音質な録音を可能とするディスクがある現在では、個々に魅力があるものかどうか。そういう点でいえば、むしろ期待されるのは高音質をうたうデジタル配信が実際にどれほど行われるのかどうか。それに「デジタル」という言葉に対する抵抗感を持つ人もたくさんいるでしょう。デジタルオーディオシステムといえば、高周波ノイズの固まりのようなイメージも消えません。

 と、前置きばかりが長くなりました。実際どうなんだと思われている方も多いでしょう。一言で感想を言いますと、「良かった」と書いていいと思いました。再生は「Poulenc Concerto for Organ」というものですが、デジタル配信版で、96Khz 24bitの録音だそうです。通常のCDは44.1khz 16bitですね。タイトルの通りのオルガンを入れた演奏なのですが、どの響きを聞いても混濁した感じがしない。空気が透明ですっきりとした静寂感が漂っています。特に良かったのは低域にかけての抜けの良さ。これはちょっと独特で、しっかりとした響きをともないながら透明感が出ていると言う非常に立派な再生でした。個人的には LINN の製品のなかではスピーカーだけがどうも冷たいクールな印象があって好きじゃないんですが、今回の再生ではそんなことは一切感じませんでした。これはパワーアンプのチャクラも貢献しているでしょう。ちなみに、プリの方も今回大阪初登場という新型だそうで、LINNとしてはまさに万全の組み合わせを用意したということなのかもしれません。

  

 その証しに、和田先生が用意したCDは 古謝美佐子さん はかつてはネーネーズという沖縄系のグループでヒットも飛ばしたことのあるボーカリスト。この再生がこれまた良かった。曲は[アメイジング・グレース]を沖縄の言葉に置き換えたものだったんですが、力強い歌声に独特のイントネーションが混ざり合い圧巻の再生でした。もちろん、この演奏はハードディスクプレーヤーの方ではなくて、現在LINNのプレーヤーの中では最上位機種となる  での再生です。それでも十分すばらしかった。つまり、この再生システムが非常に良かったということになるわけです。

 デモとしては、このあとビル・エバンスの名盤「Sunday at The Village Vanguard」のSACD対CDをCLIMAX DSで取り込んだ音源との対決となりました。SACDは96Khz 24bit程度になります。最初はSACDから。これはまたは切れが良く見通しのいい再生で、あのビレッジバンガードのグラスのぶつかり合うノイズやがさごそと人の動く気配などが歯切れよく再生されました。明瞭、ハキハキ型のモニター再生。スコット・ラファロのベースも力強く、弾んでいます。対するCLIMAX DS取り込み版のほうですが、こちらもなかなか検討。高域の伸びが負けるのでやや中域よりに感じますが、ベースの朴訥とした真面目な演奏がより出ている印象で、ジャズを聴くという意味ではむしろ正当ではないかという再生でした。オーディオ的な視点で言えば、SACDに分があって、やはり音源の差というものを感じるわけですが、これはもともとの差ですからCLIMAX DSのせいではありません。逆にそう思えばでは、LINNが配信していこうという高品質な音源への期待は高まるのではないかと考えます。

 そんなこんなでこのデモは時間が来てしまいました。この場では最高の音質と言うデータ音源は聴けませんでした。それを踏まえてCLIMAX DSがさてどうかといわれると、すでにSACDがある現状では簡単には優劣付けがたいというのが印象ではありました。SACDをはるかに上回るレベルとはまだまだ・・・それに、なんせこのシリーズは非常に高価なんですよね。それに見合うだけのものかというと正直よくわからない。未来への先行投資を考える人には良いのでしょうが、物としての魅力というとCDというパッケージメディアやそれを扱うという動作の魅力もまた捨てがたい。アナログレコードからCDに移行したときの物足りなさがありましたが、今度は配信という形で物理的な動作をほぼ無くしてしまうというのは一体どうなんだろうと思うところもあったりします。まぁ、我が家もiPodを使っているわけで、いずれはそれが当たり前になるのかもしれませんが。ちなみに、個別ブースのほうでは最高のデータ音源を聴くことができましたが、こちらは先の通りに狭い部屋で実力が発揮出ているとは言いがたい状況でした。現在のCLIMAX DS は500GBの容量で、通常のCDだと1000枚分くらいが収録できるそうです。ただ、肝心の超高音質配信のデータは今のところCD1枚分が5GBにもなるそうです。これはちょっと大きすぎなんではないかと。でもブースの方ではさらに128GBの追加ハードディスクもありましたが、こちらは完全に回転系のないSSD仕様で31万円。まだまだ考えさせられるシステムであることに変わりはないですよね。

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