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2009年5月26日 (火)

Stereo Sound Reference Record 柳沢功力先生 2

 せっかくだから聴いてみようかと、封を開けてみれば、こうした全ての心配が勝手な思い込みだったことをつくづく感じさせてくれます。このディスクのよいところは確かに名盤の聴かせどころを聴かせてくれるんですが、途中でむやみにフェードアウトしないこと。きちんと1曲、もしくは1楽章とキリのいいところまで聴ける。だから、サンプラーディスクではなくて、名曲アルバムになっていること。次ぎにあげられるのはオーディオのためのディスクであるのに、選曲が非常に音楽的で豊かなものになっているということ。ついつい聴いてしまう普通のオーディオディスクになってしまう。これ見よがしに大砲の音が入っているような選曲や太鼓の音を入れたりしていない。演奏そのものが本当に心地よいのです。

 では、オーディオのリファレンスディスクとしてはどうなのかということですが、確かに最新の録音ばかりが並んでいるわけではないので、目が覚めるような新鮮な音ではありません。これは解説にもありますが、元のディスクや楽曲にも様々な権利がありますので、中にはどうしても古い録音があります。しかし、音が古いかといえばそうではなくて、いずれもSACD、DSD録音をしっかり実施してますから十分にクリアだし、繊細で厚みのある音が入っています。むしろ、どの楽曲も録音としては非常に充実していると思いました。

 解説には1曲ごとにオーディオ的な聴き所も解説してあります。これを読みつつ、このディスクの音を聴くと、柳沢先生の求める音がオーディオ的にもいかに高次元なのかということが感じられるんです。人の声をちゃんと人の声らしく、厚みと繊細さを両立させ、かつ表現が適切であること。そのためにも再生装置がクリアで、濁りや雑味があってはいけない。立ち上がりがもたついてもいけないし、抜けが悪くてもいけない。そして、何よりオーディオ的な音ではなく、音楽的な音でなくては音楽家、演奏家の表現が伝わらない。我が家でも足りないと思えるのは、この「表現」の部分。我が家はジャズが入いるせいもあるのか、たぶん柳沢先生の求めるイメージからするともっと中域がウェットで、抑揚が欲しいんだろうなぁと思います。中域の音をより充実させようと思っては来たのですが、まだまだ足りないようで、音楽の身体が硬いというか、芯が強すぎる。それと低域の扱い方がやはり違っているのも感じました。我が家はもっと量感があってもよいんでしょうね。

 こうして名曲、名演、好録音ぞろいの完璧な1枚に仕上がっているのがこのディスクです。素直に音楽を聴くだけでも楽しいし、オーディオ的に聴いても良い先生の楽しい授業を受けたという気持ちよさでいっぱいになれます。いわゆる、オーディオ的な高音質ディスクをたくさん聴いている方にこそ聴いてもらいたい1枚。初心者の方にはあれれっと思うほど、音楽が素直に終わってしまうのが難といえば難ですが、ある程度経験があれば楽しいと感じると思います。私としてはぜひこうした編集方針を維持しつつ、菅野先生バージョンや三浦先生バージョン  先生バージョンなども出していただきたい。ステレオサウンドさんにはもうひとがんばりして欲しいと切に願うのでした。

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